李禹煥美術館
李禹煥美術館について。
李禹煥氏を少し調べると、「もの派」というキーワードが出てきました。
李禹煥氏は、この「もの派」というグループに属する方のようです。
この方は、韓国出身で、1960年代から日本を拠点に国際的に活躍してきた美術家です。美術だけではなく、哲学にも深い造詣をもった方で、作品のもつ深い精神性のバックボーンになっているようです。
「もの派」というのは、木や石の自然のものや、紙や鉄などを加工せず、自然のままに作品にするという手法を用いる集団なのだそうです。
この美術館にも、自然のままの石と鉄板がおいてあるだけという作品や、絵筆で線を並べて引いただけという作品があります。
石を自然の中においただけでは、芸術作品にはなりませんが、人工物と対比させたり、幾何学的に配置することにより、石自体の美しさや存在が強調され、世界観を作り出しています。
筆で線を並べて引いただけの作品も、腕に意図的な力を加えずに、自然にかすれた線を、規則的に並べることによって、作品として成立させています。
さらに、李禹煥氏の作品は、作品の大きさや配置、配色から、心の落ち着きを感じます。それは、この方の哲学的な素養によるものだろうと思います。
李禹煥美術館ほど、彼の作品があるところは他にないようなので、心落ち着く世界観を存分に体感してみてはいかがでしょうか。